リチウムバッテリー


 

モーターサイクルやクルマのスターターバッテリーとして、トラディショナルな鉛バッテリーやドライバッテリーに変わる次世代バッテリーとして、軽量・コンパクト・高出力・電気環境の安定化・長寿命、そして低い環境負荷と、良い事尽くめのリチウムバッテリーですが、その使用による恩恵を受ける上ではリチウムバッテリーの特性を正しく理解する事が必須です。

 

バッテリーとは

モーターサイクルやクルマをはじめとするセルスターターを始動する上でのスターターバッテリーには、現在に至るまで鉛バッテリーが一般的な製品として搭載されています。

鉛バッテリーの原型である蓄電池は 150余年程昔にフランス人により発明され、日本では 1895年にその試作に成功し、1950年以降の高度成長期にモータリゼーションの著しい発展に並行し、モーターサイクルやクルマ用に現在搭載される鉛バッテリーの基本となるバッテリーに進化し、その後もその構造や材質を変えて進化しています。

バッテリーはモーターサイクルやクルマの高性能化、環境負荷の低減、動力源の電力化等により、多種多様なタイプのバッテリーとして存在し、モーターサイクルやクルマを走らせる上で必須の構成部品となるのです。

 

スターターバッテリーとしてのリチウムバッテリー

スターターバッテリーは、エンジン始動の際にセルスターターを回すのに必要とする高電流の放電後は、継続した高電流の放電の必要はありません。

また、セルスターターによるエンジン始動後は、モーターサイクルやクルマ等の充電システムにより充電されます。

一般的にはモーターサイクルやクルマ等のバッテリー搭載側の電気システム( スターター以外の電気システム )は、比較的低い電流しか必要とせず、またバッテリー搭載側の充電システムによる正常な動作環境下において、スターターバッテリーが完全放電してしまう事は無いと言っても過言ではありません。

一般的に使用される 12V・鉛スターターバッテリーは現在、性能面における限界に達しつつあり、鉛スターターバッテリーと比較し質量及び体積エネルギー密度の大きなリチウムバッテリーは 12V・スターターバッテリーとして非常に魅力的かつ有効なものとなります。

リチウムバッテリーは、再充電可能なエネルギー貯蔵( 蓄電 )システムとして最も高いエネルギー密度を有する、現在利用可能なシステム( 技術 )のひとつです。

リチウムバッテリーは鉛バッテリーに比べ、数倍の放電サイクルを有しサイクルの安定性と軽量化の面においても有効です。

即ちリチウムスターターバッテリーは同等容量の鉛スターターバッテリーと比較した場合、軽量・コンパクト・高出力と安定した電気環境・長寿命となるのです。


リチウムバッテリー、その課題はデリケートな面

リチウムバッテリーは鉛バッテリーと比較し過放電と過充電に対し非常に敏感なこととで、過放電・過充電ともにバッテリーを構成する内部セルにダメージを与える恐れがあることに注意を払う必要があります。

過放電や過充電はバッテリー本体を壊してしまい、リチウムバッテリー搭載のメリットが享受出来なくなってしまいます。

また、充電時( 車載充電:レギュレーターで制御されたオルタネーターやジェネレーターによる充電や充電器による充電 )におけるバッテリー内部セルのアンバランス化への対応が、リチウムバッテリーを使用する上で重要なポイントとなります

 

BMS( バッテリー・マネージメント・システム )

BMS は、リチウムバッテリーの高出力と安定した電気環境・長寿命を享受する上で、また充電スピードを左右する上で、最重要構成パーツとなります。

リチウムバッテリーはセルを組み合わせて製作すれば、そこそこの性能のリチウムバッテリーは完成します。しかし、BMS の有無、また BMS そのものの特性・性能如何で製品としてバッテリーの最終的な性能に大きな影響を及ぼすのは言うまでもありません。

スターターバッテリーとしてモーターサイクルやクルマに搭載され、充放電を繰り返し使用する環境において、安全かつ継続的にリチウムバッテリー搭載のメリットの最大限の享受は、BMS 装備の有無、またその動作タイプと性能は、製品性能を左右する最も重要なパーツとなります。


リチウムバッテリー、その装着メリットは?

軽量

リチウムバッテリーは同容量の鉛バッテリーと比較した場合、50%〜70%も軽量となります。

 

コンパクト

エネルギー密度の関係により、リチウムバッテリーは同容量の鉛バッテリーよりもコンパクトになります。

 

高出力と安定した電気環境

鉛バッテリーに比べて内部抵抗値が低く、放電能力にすぐれかつ安定しているので、安定した電気環境になります。


長寿命

鉛バッテリーの3〜5倍の長寿命

 

低い自己放電率

リチウムバッテリーの自己放電率は鉛バッテリーの1/7

* ALIANT製品のデータを基に記載


リチウムバッテリー、デメリットは?

使用方法と管理方法がシビア

 

これがリチウムバッテリー装着のデメリットです

しかし、製品特性と正しい使用方法を理解すれば、高性能パーツとしての製品アドバンテージを受けられます


特に次のことはご注意ください!

充電電圧の制限

リチウムバッテリーの公称充電電圧は14.4V、最大充電電圧は、14.6Vです

( この電圧値を上回る充電環境では過充電となり、バッテリーに損傷を与えてしまいます )

* 充電電圧下限は13.5V、13.8V程の充電電圧で80%の充電が可能です

( この電圧値を下回る充電環境では十分に充電されず、過放電環境を懸念する必要があります )

 

放電電圧の制限と限界値

電圧下限値は容量が0%となる8Vです

*アリアントでは製品寿命と製品を安全に使用いただく上で、放電深度20%にあたる電圧値10Vを下限値に推奨しております。

8V以下(0%以下)まで放電してしまったリチウムバッテリーは、内部セルに損傷を受けてしまいます。

損傷を受けたセルは充電時に発熱します。発熱は、充電器による充電、車載時の車両からの充電とも同様で、その度合いは、損傷状況や充電環境によっても異なり、正常な充電電圧値であっても発熱します。

この発熱が原因となりセルの膨張や発煙、またメルティング(溶解)を誘発する場合もあり、LiFePO4は燃えないエビデンスはありますが、周囲の物が高温から発火することもあります。

 

充電電圧( 充電器及び充電システム )の限界値

製品の公称充電電圧は14.4Vで、電圧上限値は14.6Vです

ンテナンス充電で充電器による充電を行う場合には、アリアント専用充電器、またはアリアンとの承認する充電器にて、正しい充電方法にて充電してください。メンテナーによるメンテナンス充電も同様です。

* ALIANT製品のデータを基に記載